
こんにちは
臨床心理士・公認心理師のふくろうです。
2歳になっても、言葉が増えていかない
2歳になると、周りの子は「ママ、おちゃ」「ワンワン、いた」と二語文を話し始めたり、簡単な会話のやりとりを楽しんだりするようになってきます。でも、うちの子はまだ単語がいくつか出ている程度で、言葉が少ないまま。2歳で言葉が少ない理由は何なのだろうと、不安になることもあるかもしれません。
「イヤイヤ期」と呼ばれる時期でもあり、自己主張は強くなってきているのに、それを言葉でうまく伝えられない。そのもどかしさから、泣いたり癇癪を起こしたりすることも増えて、親としても対応に困ってしまう。そんな日々を過ごされている方もいるのではないでしょうか。
2歳という年齢は、言葉の発達において大きな分かれ道になる時期です。ここでは、臨床心理士として、2歳で言葉が少ない背景にあるものと、日常でできる関わり方について考えていきたいと思います。
2歳の言葉の発達は、本当に幅が広い
2歳という時期は、言葉の発達において個人差が最も大きく現れる時期の一つです。
2歳前半で二語文を話し始め、簡単な会話ができる子もいれば、2歳後半になってようやく単語が増え始める子もいます。言葉の数も、数十語話せる子もいれば、まだ数語という子もいます。
この幅の広さは、子どもの育ちのペースを反映しているだけでなく、言葉以外の発達とのバランスや、子どもが今どこにエネルギーを注いでいるかとも関係しています。
たとえば、体を動かすことに夢中な子は、走ったり登ったりすることに集中していて、言葉はもう少し後から追いついてくることもあります。慎重に観察するタイプの子は、十分に理解してから話し始めるため、言葉が出るまでに時間がかかることもあるでしょう。
2歳で言葉が少ないからといって、それだけで何か問題があるとは限りません。大切なのは、子ども全体を見ることです。
2歳で言葉が少ない理由を考える
2歳で言葉が少ない背景には、いくつかの理由が重なっていることがあります。
一つは、言葉を理解する力と話す力のバランスです。理解はできているのに、それを言葉にすることが難しい子どももいます。口や舌の動きを調整するのに時間がかかっていたり、頭の中で言葉を組み立てるプロセスがゆっくりだったり。こうした場合、理解力がしっかりしていれば、話す力もいずれ追いついてくる可能性が高いでしょう。
逆に、理解する力そのものがゆっくりと育っている場合もあります。周囲の言葉をどこまで理解しているか、簡単な指示に応じられるか。そうした様子を見ることで、どこに時間がかかっているのかが見えてくることもあります。
気質や性格も大きく影響します。人見知りが強かったり、新しいことに慎重だったりする子どもは、安心できる相手や場面でないと言葉を出さないこともあります。そうした子は、家では少し話すのに、外では黙ってしまうということもあるでしょう。
環境も関係してきます。親が先回りして世話をしすぎると、子どもが言葉で伝える必要性を感じにくくなります。逆に、周りがせかせかしていて、ゆっくりと言葉を育む時間が持てない場合もあるかもしれません。
また、兄弟がいる場合には、上の子が代弁してくれることで、本人が話す機会が減ってしまうこともあります。
こうした理由は一つだけではなく、いくつかが絡み合っていることも多いのです。
コミュニケーションの意欲を見てみる
2歳で言葉が少ないとき、まず見ていただきたいのは、コミュニケーションの意欲があるかどうかです。
言葉は少なくても、視線や身振りで伝えようとしているでしょうか。欲しいものを指さしたり、親の手を引いて連れて行こうとしたり。泣いたり笑ったり、表情で気持ちを表現しているでしょうか。
何かを見つけたときに、親の顔を見て共有しようとする様子があるでしょうか。「見て見て」という気持ちで指さしをしたり、嬉しそうに振り返ったり。こうした行動は、人と気持ちを分かち合いたいという心の動きを表しています。
もしこうした意欲が見られるなら、コミュニケーションの土台はしっかりと育っています。言葉という形になるのは、もう少し時間がかかるかもしれませんが、その芽は確実に育っているということです。
一方で、人との関わりそのものへの興味が薄く、一人で遊ぶことが多かったり、親が関わろうとしても反応が乏しかったりする場合には、まず人と関わる楽しさを体験できる関わり方を工夫していくことが大切になります。
理解する力はどれくらい育っているか
言葉の発達を見るときに、もう一つ大切なのが理解する力です。
「ごはんだよ」と言うと食卓に向かう、「お片付けしようね」と言うとおもちゃを箱に入れる、「靴履こうか」と言うと玄関に向かう。こうした日常の言葉をどれくらい理解しているでしょうか。
また、「これちょうだい」と言うと渡してくれる、「ポイして」と言うとゴミ箱に捨てる、「お茶どこ?」と聞くとコップを指さす。こうした簡単なやりとりができるかどうかも目安になります。
理解する力がしっかりと育っていれば、話す力は後から追いついてくることが多いのです。頭の中には言葉が蓄えられていて、それを音にするまでに少し時間がかかっているという状態です。
逆に、理解も乏しいように見える場合には、言葉を受け取る力そのものをゆっくりと育てていく必要があるかもしれません。そのときには、言葉をかけるだけでなく、視覚的な手がかりも一緒に使うなど、工夫が必要になることもあります。
2歳の子に合った関わり方
2歳で言葉が少ないとき、日常の中でできる関わり方はたくさんあります。
まず、子どもが何かを伝えようとしたときに、その気持ちを言葉にして返してあげることです。指さしをしたら「車だね」と言葉にする、泣いていたら「悲しかったね」と気持ちを代弁する。こうした関わりが、言葉と気持ちを結びつける手助けになります。
絵本の時間も大切です。2歳の子どもには、繰り返しのある絵本や、身近な生活を描いた絵本が向いています。読み聞かせるだけでなく、絵を指さして「これは何かな?」と問いかけたり、一緒にページをめくる楽しさを共有したり。そんな時間が言葉を育てます。
遊びの中で言葉を使う機会を作ることも効果的です。ごっこ遊びで「いただきます」「おいしいね」とやりとりをしたり、お風呂で体の部位を言葉にしながら洗ったり。日常の中に、自然に言葉が入り込む場面を作っていく。
そして、子どもが言葉を発しようとしたときには、焦らず待つことです。すぐに先回りせず、言葉が出てくるまでゆっくりと待つ。たとえ言えなくても、「言おうとしてくれたね」と認めてあげる。そんな関わりが、言葉を使う意欲を支えます。
大切なのは、無理に言わせようとしないことです。プレッシャーを感じると、かえって言葉が出にくくなることもあります。楽しい雰囲気の中で、自然に言葉に触れる機会を増やしていく。そんな姿勢が、2歳の子どもには合っています。
言葉以外の表現も大切にする
2歳は、言葉だけでなく、体全体で表現する時期でもあります。
踊ったり、走ったり、ジャンプしたり。体を動かすことで、嬉しさや楽しさを表現しています。これも立派なコミュニケーションです。
お絵かきや粘土遊びなど、手を使った表現も豊かになる時期です。言葉にならない思いが、こうした創作活動を通じて表れることもあります。
音楽やリズムに合わせて体を揺らすことも、自己表現の一つです。歌を歌ったり、楽器を鳴らしたり。そうした活動が、やがて言葉のリズムやイントネーションにもつながっていきます。
言葉が少ないからといって、表現する力そのものがないわけではありません。いろいろな形での表現を受け止めながら、その中に言葉も少しずつ加わっていく。そんなふうに考えてみてはどうでしょうか。
イヤイヤ期と言葉の関係
2歳は、いわゆるイヤイヤ期と重なる時期でもあります。
自我が芽生え、「自分でやりたい」「これがいい」という気持ちが強くなる。でも、それを言葉でうまく伝えられないと、もどかしさから泣いたり癇癪を起こしたりすることが増えます。
言葉が少ない子どもにとって、このイヤイヤ期は特に大変な時期かもしれません。伝えたいことがあるのに言葉にできない。そのもどかしさは、子どもにとっても辛いものです。
そんなときこそ、子どもの気持ちを言葉にして返してあげることが大切です。「これがしたかったのね」「いやだったんだね」。気持ちを受け止めてもらえたという経験が、心を落ち着かせ、やがて言葉を使う意欲にもつながっていきます。
イヤイヤ期は大変ですが、それは成長の証でもあります。この時期を丁寧に過ごすことが、言葉の発達にとっても大切な時間になるのです。
心配なときは、相談してみる
2歳で言葉が少ないとき、どのタイミングで専門家に相談すればいいか迷うこともあるでしょう。
一つの目安は、2歳半を過ぎても単語がほとんど出ていない場合です。また、言葉だけでなく、人との関わりが乏しかったり、周囲の言葉への理解も少なかったりする場合には、早めに相談してみるとよいかもしれません。
ただ、こうした目安はあくまで参考程度です。親として「なんとなく気になる」という直感も大切な情報です。不安を抱えたまま過ごすよりも、一度専門家の目を借りてみることで、安心できることもあります。
相談したからといって、必ず何か問題が見つかるわけではありません。多くの場合、今の関わり方で大丈夫だと確認できたり、具体的な工夫のヒントをもらえたりするだけで、気持ちが楽になります。
そして、もし何か支援が必要だったとしても、早めに気づいて適切な関わりができることは、子どもにとっても親にとってもプラスになります。
2歳の今は、言葉が爆発する前の準備期間
2歳で言葉が少ないとき、焦る気持ちはよくわかります。でも、この時期は「言葉が爆発する前の準備期間」だと考えることもできます。
子どもの中には、今、言葉がたくさん蓄えられているのかもしれません。周りの会話を聞いて、絵本の言葉を受け取って、日常の経験と言葉を結びつけて。そうした準備が整ったとき、堰を切ったように言葉が溢れ出てくることもあるのです。
焦らず、でも見守りながら、日々の関わりを大切にしていく。それが、2歳の今できることです。
あなたが今感じている不安も、子どものことを真剣に考えているからこそ生まれているものです。その気持ちを大事にしながら、でも一人で背負い込みすぎず、周りの力も借りながら、少しずつ歩んでいけたらと思います。
2歳の子どもの言葉は、これから大きく育っていきます。その成長を、少しだけゆったりとした気持ちで見守れますように。

ここまで読んでくれてありがとう。
※この記事は、公認心理師・臨床心理士の「ふくろう」が、心理支援の現場経験をもとに執筆しています。
一般的な心理学的知見に基づいた情報提供を目的としており、特定の診断や治療を行うものではありません。子どもの状態や状況には個人差があります。心配なことがある場合は、医療機関や専門機関への相談をご検討ください。
