癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方

かんしゃく
ふくろう
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こんにちは
公認心理師・臨床心理士のふくろうです。

はじめに

癇癪の中に、「本当は甘えたい気持ちが隠れているのでは」と感じることはありませんか。

この記事では、癇癪の裏にある甘えたいサインの特徴と、見逃さないための視点を紹介します。

激しく拒絶する姿の、その奥にあるもの

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方を知りたいと思っている親は、もしかしたら子どもの激しい反応に戸惑いながらも、その奥にある本当の気持ちに気づきかけているのかもしれません。些細なことで泣き叫ぶ、突然抱きついてくる、「できない」と言って何もしようとしない。そうした姿を見るとき、これは単なるわがままなのか、それとも何か別の意味があるのか、判断に迷うことがあるでしょう。

特に、普段は自分でできることを急にできないと言い出したり、下の子どもが生まれてから癇癪が増えたり、保育園や幼稚園に通い始めてから激しく泣くようになったりしたとき。その変化の背景に、何か子どもからのメッセージがあるのではないかと感じることもあるはずです。

「甘やかしてはいけない」「自立を促さなければ」そんな思いと、「でも何か辛いことがあるのかもしれない」という直感の間で、親の心は揺れ動くことがあります。けれども、癇癪の裏には確かに、言葉にならない「甘えたいサイン」が隠れていることがあると考えられています。

癇癪と甘えの関係

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方を考える前に、まず癇癪と甘えがどのように結びついているのかを理解しておくとよいかもしれません。

一般的に、子どもにとって甘えることは生きるために必要な行動だとされています。不安なとき、疲れたとき、寂しいとき。そんなときに甘えることで、心の安定を取り戻すことがあります。けれども、素直に「甘えたい」と言えない子どももいます。年齢が上がるにつれて、甘えることへの照れや抵抗が生まれてくる場合があります。あるいは、甘えたいけれど甘えられない状況があることもあるでしょう。

そんなとき、子どもは別の方法で甘えを表現しようとすることがあります。その一つが癇癪である可能性があります。激しく泣くことで、親の注目を集める。困らせることで、自分だけを見てもらう。拒絶することで、抱きしめてもらおうとする。一見すると反抗的で手のかかる行動の裏に、「こっちを見て」「抱きしめて」「安心させて」というメッセージが隠れていることがあるのです。

また、癇癪は「今の自分では耐えられない」というSOSでもある場合があります。頑張りすぎて疲れた、我慢の限界を超えた、不安で押しつぶされそうだ。そんな心の状態を、言葉ではなく癇癪という形で伝えていることがあるのです。その背景には、「助けてほしい」「楽にしてほしい」という甘えの欲求がある場合があります。

甘えたいサインとしての癇癪の特徴

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方として、いくつかの特徴に注目することができます。ただし、個人差がありますので、すべてに当てはまるわけではありません。

一つは、タイミングです。下の子どもが生まれた後、保育園や幼稚園に通い始めた後、引っ越しや環境の変化があった後。そうした、子どもにとって大きな変化があったタイミングで癇癪が増えた場合、それは甘えたい気持ちの表れである可能性があります。変化に対する不安を、癇癪という形で表現していることがあると考えられます。

また、癇癪が起きる場面も手がかりになる場合があります。親が忙しくしているとき、他のことに集中しているとき、下の子どもの世話をしているとき。そんな場面で突然癇癪を起こす場合、それは「自分を見てほしい」という甘えのサインかもしれません。癇癪を起こせば、親の注目が自分に向くことを、子どもは経験から学んでいることがあります。

さらに、癇癪の後の反応も重要な手がかりになることがあります。癇癪が収まった後、すぐに親に甘えてくる、抱きついてくる、膝に座ろうとする。そうした行動が見られる場合、癇癪そのものが甘えを求める手段だった可能性があります。激しく泣くことで心のエネルギーを使い果たし、ようやく素直に甘えられる状態になっていることがあるのです。

そして、できるはずのことを「できない」と言い出すのも、甘えたいサインの一つだと考えられています。自分で着替えられるのに「できない」と言う、一人で食べられるのに「食べさせて」と言う。それは退行と呼ばれる現象で、より小さな子どもに戻ることで、親の世話を受けたいという願望の表れである場合があります。

年齢による甘えたいサインの違い

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方は、年齢や発達によって異なることがあります。

2歳から3歳の頃は、一般的に甘えと自立の狭間で揺れ動く時期だとされています。「自分でやる」と言いながら、うまくいかないと激しく泣くことがあります。その癇癪の背景には、「助けてほしいけれど、助けてと言えない」という葛藤があることが多いでしょう。手伝おうとすると怒り、でも一人ではできない。そのジレンマが癇癪として表れることがあるのです。

4歳から5歳になると、甘えることへの照れが出てくる傾向があります。本当は甘えたいのに、「もう大きいから」という意識が邪魔をする場合があります。その結果、わざと困らせるような行動を取ったり、反抗的な態度を示したりすることで、間接的に甘えを求めることがあります。素直に「甘えたい」と言えない分、癇癪という形で表現することがあるのです。

小学生になると、甘えたいという気持ちを認めること自体が恥ずかしくなることが多いでしょう。けれども、その欲求がなくなるわけではありません。学校で頑張っている分、家では甘えたい。けれどもその気持ちを言葉にできず、イライラや癇癪として表れることがあります。「うるさい」「放っておいて」と言いながら、実は「こっちを見てほしい」と思っていることもあるのです。

年齢によっても違うんですね。

日常の中での見抜き方

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方として、日常の中で子どもの様子を観察することが助けになる場合があります。

まず、最近の生活を振り返ってみる。親が忙しい時期が続いていなかったか、子どもと二人きりでゆっくり過ごす時間が減っていなかったか。もし思い当たることがあれば、癇癪は「もっと自分を見てほしい」というメッセージかもしれません。

また、癇癪が起きる時間帯や状況にパターンがないか注目してみる。夕方の忙しい時間、親が電話をしているとき、来客があるとき。そうした「親が自分以外のことに注意を向けている場面」で癇癪が起きるなら、それは甘えたいサインの可能性があります。

そして、癇癪以外の場面での子どもの様子も観察してみる。普段より甘えた口調になっていないか、いつもよりべったりくっついてこないか、赤ちゃん言葉が増えていないか。そうした小さな変化が、子どもの心の状態を教えてくれることがあります。

さらに、癇癪が起きたとき、抱きしめてみるとどうなるか試してみることもできます。激しく拒絶していたのに、抱きしめると急に落ち着く、泣きながら抱きついてくる。そうした反応が見られるなら、癇癪の背景に甘えたい気持ちがあったと考えられる場合があります。ただし、状況によって変わりますので、常に同じ反応があるとは限りません。

甘えたいサインへの応え方

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」を見抜いたとき、どう応えればいいのか悩むこともあるでしょう。甘やかしすぎてはいけない、わがままを許してはいけない、そんな思いが頭をよぎることがあります。

けれども、甘えさせることと甘やかすことは違うと考えられています。甘えさせるとは、子どもの心の欲求を満たしてあげることです。不安なときに安心を与える、疲れたときに休ませる、寂しいときにそばにいる。それは子どもの成長にとって役立つことがあるとされています。

癇癪が甘えたいサインだと気づいたら、一つの方法として、まずはその気持ちを受け止めることが挙げられます。「寂しかったね」「もっと一緒にいたかったね」と言葉にしてあげる。それだけで、子どもは「分かってもらえた」と感じることがあります。

そして、できる範囲で甘えさせてあげる。ほんの数分でも、その子どもだけに集中する時間を作る。膝に座らせる、抱きしめる、髪を撫でる。そうした身体的な触れ合いが、子どもの心を満たしていくことがあります。

また、できることを「できない」と言い出したときは、少しだけ手伝ってあげる。全部やってあげるのではなく、最初だけ手を貸す、途中まで一緒にやる。そうすることで、子どもは「親は自分を見てくれている」という安心感を得られる場合があります。

ただし、何でも要求を受け入れる必要はありません。甘えは受け止めても、わがままは別です。その境界線を保ちながら、子どもの心の欲求に応えていくことが大切だと考えられます。

甘えを満たすことの大切さ

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」に気づき、それに応えることは、決して甘やかしではないと考えられています。むしろ、子どもの自立を支えるために役立つことがあるとされています。

一般的には、甘えが十分に満たされた子どもは、安心して次のステップに進むことができると言われています。心のエネルギーが満タンになることで、また頑張る力が湧いてくることがあります。逆に、甘えが満たされないまま自立を求められると、子どもの心には不安と不満が溜まっていく場合があります。その溜まった気持ちが、癇癪という形で噴き出し続けることがあるのです。

また、甘えを受け止めてもらった経験は、子どもの自己肯定感を育てる助けになることがあるとされています。「困ったときには助けてもらえる」「自分は愛されている」という実感が、子どもの心の土台を作ることがあります。その土台があるからこそ、子どもは安心して世界に挑戦していける場合があるのです。

ですから、癇癪の背景に甘えたい気持ちがあると気づいたときは、遠慮せず甘えさせてあげてください。それは子どもをダメにすることではなく、子どもの成長を支えることになる場合があります。

自分を責めないでほしい

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」に気づいたとき、親は自分を責めてしまうかもしれません。もっと早く気づいていれば、もっと時間を作っていれば、こんなに苦しませることはなかったのではないか。

けれども、完璧な親などいません。忙しい日々の中で、すべての癇癪の背景を見抜くことは難しい場合が多いでしょう。気づけなかった日があっても、それは失格ではありません。今、気づいたのであれば、今から応えていけばいいのです。

また、甘えたいサインに気づいても、すぐに応えられない状況もあります。仕事が忙しい、下の子どもの世話がある、体調が悪い。そんなときは、できる範囲で応えるしかありません。完璧に応えられなくても、応えようとする姿勢があれば、それは子どもに伝わることが多いと考えられます。

大切なのは、子どもの気持ちに寄り添おうとし続けることです。うまくいかない日があっても、また明日があります。少しずつ、子どもとの時間を大切にしていけば、それで十分なのです。

もし癇癪の頻度が高く、日常生活に大きな支障が出ているようであれば、甘え以外の背景がないか、専門家に相談してみることも一つの選択肢です。年齢ごとの癇癪の特徴を理解することも、その子どもが何を求めているのかを知る助けになることがあります。

癇癪の裏にある「甘えたいサイン」の見抜き方は、一つの視点に過ぎません。けれども、この視点を持つことで、子どもの激しい反応の意味が少しだけ見えてくることがあります。その理解が、親自身の心を楽にし、子どもとの関係を温かいものにしていくことがあります。焦らず、自分を責めず、一日ずつ、子どもの気持ちに寄り添っていけたらと思います。

ふくろう
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ここまで読んでくれてありがとう。


※この記事は、公認心理師・臨床心理士の「ふくろう」が、心理支援の現場経験をもとに執筆しています。
一般的な心理学的知見に基づいた情報提供を目的としており、特定の診断や治療を行うもではありません。子どもの状態や状況には個人差があります。心配なことがある場合は、医療機関や専門機関への相談をご検討ください。

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