
こんにち
公認心理師・臨床心理士のふくろうです。
はじめに
癇癪が続く背景には、生活リズムの乱れが影響していることがあります。
この記事では、癇癪と生活リズムの関係を整理し、無理なく整えていくための考え方を解説します。
毎日が不規則で、心も揺れ動く
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方を知りたいと思っている親は、もしかしたら日々の生活が不安定になっていることに気づいているのかもしれません。夜遅くまで起きていて、朝はなかなか起きられない。食事の時間がバラバラで、お腹が空いたときに何かを食べる。そんな生活が続いているとき、子どもの癇癪も激しくなっているように感じることがあるでしょう。
あるいは、生活リズムを整えようと努力しているのに、なかなかうまくいかない。決まった時間に寝かせようとしても抵抗される、朝ごはんを食べてくれない、昼寝の時間がずれてしまう。そうした日々の中で、癇癪も収まらず、親自身も疲れ切っていることもあるかもしれません。
けれども、生活リズムと癇癪には深い関係があると考えられています。規則正しい生活が、すぐに癇癪をなくすわけではありません。ただ、子どもの心と体が安定することで、感情のコントロールがしやすくなることがあるのです。
生活リズムが乱れると、なぜ癇癪が増えるのか
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方を考える前に、まずなぜ生活リズムの乱れが癇癪と関係するのかを理解しておくとよいかもしれません。
一般的に、人間の体には一日のリズムを刻む仕組みがあるとされています。朝になると目が覚め、夜になると眠くなる。お腹が空く時間、活動的になる時間、休みたくなる時間。そうしたリズムが整っていると、体も心も安定して働くことが多いでしょう。けれども、このリズムが乱れると、体調も気分も不安定になることがあります。
特に子どもは、大人以上に生活リズムの影響を受けやすい傾向があります。睡眠が足りないと、イライラしやすくなることがあります。食事の時間が不規則だと、空腹や満腹のタイミングがずれて、機嫌が悪くなる場合があります。疲れが溜まっていると、些細なことで感情が爆発することがあります。こうした体の不調が、癇癪という形で現れることがあるのです。
また、生活が予測できないことも、子どもの不安を高める場合があると考えられています。今日は何時に寝るのか、明日は何があるのか、いつご飯を食べられるのか。そうした見通しが持てないとき、子どもの心は常に緊張状態にあることがあります。その緊張が積み重なることで、癇癪が起きやすくなる場合があります。
さらに、生活リズムが乱れていると、親子の時間も不安定になることがあります。朝はバタバタして余裕がなく、夜は遅くまで起きているから寝かしつけが大変。そうした慌ただしさの中で、親自身も疲れ、イライラしやすくなる場合があります。その空気が子どもに伝わり、癇癪を引き起こすこともあると考えられます。

生活リズムも影響しているんですね。
睡眠と癇癪の関係
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方として、多くの場合、最も重要だとされているのが睡眠です。睡眠が十分に取れていないと、子どもの感情は非常に不安定になることがあります。
睡眠不足の子どもは、感情のコントロールが難しくなる傾向があります。ちょっとしたことでイライラする、すぐに泣き出す、我慢が利かない。それは子どもの性格の問題ではなく、脳が十分に休めていないことの影響である場合があります。睡眠中に、脳は一日の出来事を整理し、感情を処理していると考えられています。その時間が足りないと、感情の処理がうまくいかず、癇癪として溢れ出してしまうことがあるのです。
また、睡眠の質も重要だとされています。夜遅くまで明るい部屋で過ごしていたり、寝る直前までテレビやタブレットを見ていたりすると、深い睡眠が取れないことがあります。眠っている時間は長くても、質の良い睡眠が取れていなければ、脳も体も十分に回復しない場合があります。
子どもに必要な睡眠時間は年齢や発達によって異なりますが、一般的には幼児期で10時間から13時間程度、小学生でも9時間から12時間程度とされることが多いようです。今の生活で、その睡眠時間が確保できているかを振り返ってみることが、一つの方法として役立つことがあります。ただし、個人差がありますので、すべてに当てはまるわけではありません。
睡眠について詳しく知りたい方は、厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023を参照。
食事のリズムと癇癪
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方として、食事のリズムも見直す価値があると考えられています。
お腹が空いていると、子どもはイライラしやすくなることがあります。血糖値が下がることで、脳が十分にエネルギーを得られず、感情のコントロールが難しくなる場合があるのです。逆に、食べ過ぎや、甘いものばかり食べることで血糖値が乱高下すると、それもまた気分の不安定さにつながることがあります。
朝ごはんを食べない、おやつの時間が決まっていない、夕ごはんの時間がバラバラ。そうした不規則な食事は、子どもの体のリズムを乱すことがあると考えられています。できるだけ決まった時間に食事を取ることで、体は「次はいつエネルギーが入ってくるか」を予測できるようになり、安定して働けるようになる場合があります。
ただし、完璧な栄養バランスを目指す必要はありません。まずは食事の時間を一定にすること、朝ごはんを何か食べること。そこから始めるだけでも、子どもの生活リズムは整っていくことがあります。
一日の流れを予測可能にする
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方として、一日の流れをある程度パターン化することも効果的な場合があります。
朝起きる時間、朝ごはんの時間、出かける時間、お昼ごはん、お昼寝や休憩、おやつ、夕ごはん、お風呂、寝る時間。こうした一日の流れが大体決まっていると、子どもは「次に何が起こるか」を予測できることがあります。その予測可能性が、子どもに安心感を与える場合があります。
予測できない生活は、子どもにとってストレスになることがあるとされています。「いつご飯を食べられるのか」「いつ遊べるのか」「親はいつまで忙しいのか」そうした不安が常にある状態では、心は落ち着かないことがあります。その不安が癇癪として表れることがあるのです。
ただし、毎日完全に同じスケジュールである必要はありません。大まかな流れが似ていれば、それで十分です。週末と平日で多少違っても構いません。大切なのは、子どもが「だいたいこんな感じ」という感覚を持てることです。
無理なく整えていくために
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方を考えるとき、完璧を目指すとかえって苦しくなることがあります。今の生活を一気に変えようとすると、親も子どもも疲れてしまう場合があります。
まずは、一つだけ決めてみる。たとえば、「夜九時には布団に入る」だけを目標にする。あるいは「朝ごはんは八時に食べる」だけを決める。一つのことが習慣になってから、次のステップに進む。そうした段階的なアプローチが、長続きする秘訣になることがあります。
また、すぐに効果が出なくても焦らないことも大切です。一般的に、生活リズムが整うまでには少なくとも二週間から一ヶ月程度はかかるとされています。その間、子どもは新しいリズムに抵抗するかもしれません。けれども、諦めずに続けることで、少しずつ体が慣れていくことがあります。
そして、完璧にできない日があっても自分を責めないこと。用事があって遅くなる日、体調が悪い日、どうしてもうまくいかない日。そんな日があっても当然です。大まかなリズムが保たれていれば、時々のズレは大きな問題にはならないことが多いでしょう。
環境を整えることの大切さ
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方として、環境面での工夫も助けになることがあります。
寝る時間が近づいたら、部屋を暗めにする。刺激的なテレビや動画は見せない。静かな音楽をかける、絵本を読む。そうした環境の変化が、子どもの体に「そろそろ休む時間だよ」というサインを送ることがあります。
また、朝は太陽の光を浴びることが大切だとされています。カーテンを開けて明るい光を入れる、外に出て空気を吸う。朝の光が体内時計をリセットし、一日のリズムを整えてくれることがあります。
さらに、日中に体を動かす時間を作ることも重要だと考えられています。公園で遊ぶ、散歩をする、家の中で体を使った遊びをする。適度に体を疲れさせることが、夜の良い眠りにつながる場合があります。
家族全体のリズムも見直す
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方を考えるとき、子どもだけでなく、家族全体の生活も関係してくることがあります。
親自身が夜遅くまで起きていれば、子どもも寝る時間が遅くなることがあります。家族の誰かが不規則な生活をしていれば、その影響が子どもにも及ぶ場合があります。だからこそ、可能であれば、家族全体で生活リズムを見直すことが理想的だと考えられます。
ただし、仕事の都合や家庭の事情で、どうしても難しいこともあるでしょう。その場合は、子どもの生活だけでも優先的に整えていく。完璧な家族の生活リズムを目指すのではなく、できる範囲で調整していくことが大切です。
また、パートナーや家族に協力を求めることも一つの方法です。「子どもの癇癪が生活リズムと関係しているかもしれない」と相談してみる。一人で抱え込まず、家族みんなで取り組むことで、負担も軽くなることがあります。

家族みんなで生活リズムを整えるのが大切ですね。
生活リズムが整っても癇癪が続くとき
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方を実践しても、すぐに癇癪がなくなるわけではありません。生活リズムは、癇癪を減らすための土台の一つですが、それだけで解決するとは限りません。状況によって変わりますので、すべてに当てはまるわけではありません。
もし生活リズムを整えても癇癪が続くようであれば、他の要因も考える必要があるかもしれません。園や学校でのストレス、友達関係の悩み、発達的な特性、感覚の過敏さ。様々な背景が絡み合って癇癪が起きている可能性があります。
そんなときは、生活リズム以外の視点からも子どもを理解していく必要があるかもしれません。声かけの工夫、環境の調整、専門家への相談。いくつかの手立てを組み合わせることで、少しずつ状況が改善していくこともあります。
もし癇癪の頻度が非常に高く、日常生活に大きな支障が出ているようであれば、専門家に相談することも一つの選択肢です。相談のタイミングや相談先について知りたいと思ったときには、それについて考える機会を持つこともできます。
焦らず、少しずつ
癇癪が落ち着く生活リズムの整え方に正解はありません。その子どもの年齢、性格、家庭の状況によって、適した方法は異なります。個人差がありますので、すべてに当てはまるわけではありません。
大切なのは、今できることから始めることです。睡眠時間を三十分早める、朝ごはんの時間を決める、夜の過ごし方を少し変えてみる。小さな一歩が、やがて大きな変化につながっていくことがあります。
そして、うまくいかない日があっても自分を責めないこと。生活リズムを整えることは、思っている以上に難しいことです。完璧にできなくても、少しずつ改善していこうとしている姿勢そのものが大切なのです。
生活リズムが整うことで、子どもの癇癪が少しずつ落ち着いていくことがあります。それと同時に、親自身の生活も整い、心にも余裕が生まれてくる場合があります。その相乗効果が、家族全体を楽にしていくことがあります。焦らず、一日ずつ、できることを積み重ねていけたらと思います。

ここまで読んでくれてありがとう。
※この記事は、公認心理師・臨床心理士の「ふくろう」が、心理支援の現場経験をもとに執筆しています。
一般的な心理学的知見に基づいた情報提供を目的としており、特定の診断や治療を行うもではありません。子どもの状態や状況には個人差があります。心配なことがある場合は、医療機関や専門機関への相談をご検討ください。
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