癇癪が増えたと感じたときに読むチェックリスト

かんしゃく

はじめに

「最近、癇癪が増えた気がする」「以前よりも激しくなっている」――そんな変化に気づいたとき、不安な気持ちになることがあるかもしれません。何か自分の関わり方が悪かったのだろうか、子どもに何か問題が起きているのだろうかと、心配になることもあるでしょう。

癇癪が増えたと感じるとき、それは必ずしも悪い方向への変化ではありません。子どもの成長の節目であったり、環境の変化に適応しようとしている過程であったり、一時的なものであることも多いのです。けれども、その背景に何かのサインが隠れていることもあります。

この記事では、癇癪が増えたと感じたときに確認していただきたいチェックリストをご用意しました。臨床心理の視点から、子どもの状態や周囲の環境を整理するための手がかりとして、活用していただければと思います。

ふくろう
ふくろう

こんにちは

公認心理師・臨床心理士のふくろうです。

チェックリストを使う前に知っておいてほしいこと

このチェックリストは、診断や評価のためのものではありません。あくまでも、子どもの様子や生活を振り返り、何が癇癪の増加に関わっているのかを考えるためのヒントです。

すべての項目に当てはまらなくても、いくつか心当たりがあれば、それが糸口になります。逆に、多くの項目に当てはまったからといって、必ずしも深刻な問題があるわけではありません。大切なのは、気づいたことを手がかりに、できることから少しずつ調整していくことです。

また、このチェックリストを使うことで、ご自身を責めないでください。癇癪が増えることは、誰の責任でもありません。子育ては日々変化するものであり、その中で揺れ動くことは自然なことです。

それでは、いくつかのカテゴリーに分けてチェック項目を見ていきましょう。

生活リズムと身体の状態に関するチェック

子どもの感情の安定には、身体の状態が深く関わっています。まず、日常の生活リズムについて確認してみましょう。

睡眠について 最近、子どもの睡眠時間は十分にとれているでしょうか。夜更かしが続いていたり、朝起きる時間が不規則になっていたりしないでしょうか。寝つきが悪くなった、夜中に何度も目を覚ますようになった、朝起きるのを嫌がるようになった――こうした変化はないでしょうか。

昼寝の時間が変わったり、なくなったりしたことで、疲れが溜まっていることもあります。また、寝る前にテレビやタブレットを見る時間が増えていると、睡眠の質が下がることもあります。

食事について 食事の時間は規則正しく保たれているでしょうか。忙しさから食事の時間がバラバラになっていたり、間食が増えていたりしないでしょうか。食欲に変化はないでしょうか。以前より食べなくなった、逆に食べ過ぎるようになったという変化も、ストレスのサインかもしれません。

水分は十分にとれているか、甘いものやスナック菓子に頼りすぎていないかも、確認してみてください。栄養バランスが崩れると、身体だけでなく心の安定にも影響します。

体調について 風邪気味ではないでしょうか。鼻水が出ている、咳をしている、微熱があるといった、軽い体調不良はないでしょうか。子どもは自分の不調をうまく言葉にできないため、体調が悪いことが癇癪として表れることがあります。

便秘や下痢など、お腹の調子はどうでしょうか。成長痛や歯の生え変わりなど、身体の変化による不快感も見逃せません。

活動量について 身体を動かす時間は十分にあるでしょうか。外遊びの時間が減っていたり、室内で静かに過ごすことが増えていたりしないでしょうか。逆に、活動が多すぎて疲れが溜まっていることもあります。

季節の変わり目や天候の影響で、外に出る機会が減っていることも、エネルギーの発散不足につながります。

家庭環境と親子の関わりに関するチェック

次に、家庭での過ごし方や親子の関わりについて振り返ってみましょう。

親子の時間について 最近、子どもと向き合う時間は十分にとれているでしょうか。忙しくて、話をゆっくり聞く余裕がなくなっていないでしょうか。スマートフォンを見ながら、家事をしながら、テレビをつけながら――「ながら」で接する時間が増えていないでしょうか。

一緒に遊ぶ時間、絵本を読む時間、抱きしめる時間――こうした密な関わりの時間が減っていると、子どもは寂しさを感じているかもしれません。

言葉がけについて 子どもにかける言葉を振り返ってみてください。「早くして」「ダメでしょ」「ちゃんとして」といった注意や指示の言葉が増えていないでしょうか。褒める言葉、認める言葉、共感する言葉はどれくらいあるでしょうか。

忙しいときほど、つい命令口調になったり、否定的な言葉が増えたりします。それが子どもの自己肯定感を下げ、癇癪を引き起こしていることもあります。

家庭内の変化について 最近、家庭内で何か変化があったでしょうか。引っ越し、弟や妹の誕生、家族の体調不良、仕事の変化――大人から見れば小さなことでも、子どもにとっては大きな変化です。

両親の関係に変化はないでしょうか。喧嘩が増えた、会話が減った、雰囲気がピリピリしている――こうした空気を、子どもは敏感に感じ取ります。

祖父母や親しい人との別れ、ペットとの別離なども、子どもの心に影響を与えます。

親自身の状態について ここで正直に振り返ってみてください。あなた自身は、最近どんな状態でしょうか。疲れていないでしょうか。イライラしやすくなっていないでしょうか。不安や心配事を抱えていないでしょうか。

親の心の状態は、そのまま子どもに伝わります。あなたが余裕を失っているとき、子どもも不安定になりやすいのです。自分をいたわる時間はとれているでしょうか。

保育園・幼稚園・学校に関するチェック

子どもが日中過ごす場所での様子も、癇癪に大きく影響します。

環境の変化について 最近、保育園や幼稚園、学校で何か変化があったでしょうか。クラス替え、担任の先生の交代、新しい友達の加入――こうした変化は、子どもにとってストレスになることがあります。

進級や進学も大きな節目です。新しい環境に適応しようと頑張っている分、家で感情を爆発させることがあります。

人間関係について 友達との関係はどうでしょうか。仲良しの友達とクラスが離れた、苦手な子と同じグループになった、仲間外れにされた――こうした経験はないでしょうか。

先生との関係も重要です。厳しい先生に変わった、優しかった先生が異動になった――大人との関係の変化も、子どもの安心感に影響します。

集団生活でのプレッシャーについて 発表会や運動会などの行事が近づいていないでしょうか。練習が厳しくなったり、期待をかけられたりして、プレッシャーを感じていることもあります。

ルールが増えた、座っている時間が長くなった、やることが多くなった――発達段階に合わない要求をされていると、ストレスが溜まります。

園や学校での様子について 先生から何か気になることを聞いていないでしょうか。「最近、元気がない」「ぼんやりしている」「友達とトラブルが増えた」――こうした報告は、子どもが何かに困っているサインかもしれません。

逆に、「園ではとてもいい子です」と言われることもあります。外で頑張りすぎている分、家で癇癪が増えることもあるのです。

発達と感覚に関するチェック

子どもの発達の特性や感覚の特徴が、癇癪に関わっていることもあります。

言葉の発達について 子どもは、自分の気持ちを言葉で表現できているでしょうか。言いたいことがあるのに、うまく言葉にならなくて癇癪になることはないでしょうか。

同年齢の子どもと比べて、言葉の発達がゆっくりだと感じることはあるでしょうか。言葉でのやりとりが難しいと、癇癪という形でしか伝えられないこともあります。

感覚の敏感さについて 音や光、触感に敏感な様子はないでしょうか。特定の服を嫌がる、タグが気になる、大きな音を怖がる、人混みを嫌がる――こうした反応が強い場合、感覚過敏が背景にあるかもしれません。

逆に、感覚が鈍感で、痛みに気づきにくい、危険を察知しにくいという特徴がある子どももいます。こうした感覚の特性が、癇癪につながることもあります。

こだわりや切り替えの難しさについて 特定の順序やルールにこだわりが強くないでしょうか。いつもと違うことが起きると、強く抵抗することはないでしょうか。活動の切り替えが苦手で、遊びをやめられない、次のことに移れないという様子はないでしょうか。

こうした特性は、発達の個性であり、適切な関わりを知ることで、癇癪を減らすことができます。

集中や多動の傾向について じっとしていることが苦手で、常に動き回っている様子はないでしょうか。逆に、興味のあることには驚くほど集中するけれど、興味のないことには全く注意が向かないという偏りはないでしょうか。

衝動的に行動してしまい、後で後悔するようなことはないでしょうか。こうした傾向が強い場合、それが癇癪の背景にあるかもしれません。

季節や社会状況に関するチェック

意外に見落とされがちなのが、季節の変化や社会的な状況の影響です。

季節の変化について 季節の変わり目ではないでしょうか。気温の変化、日照時間の変化、湿度の変化――こうした環境の変化は、子どもの体調や気分に影響します。

春の進級シーズン、夏休み明け、年末年始――年間のリズムの中で、特定の時期に癇癪が増えることもあります。

行事や予定の多さについて 最近、普段と違う予定が続いていないでしょうか。旅行、帰省、来客、イベント――楽しいはずの出来事でも、日常のリズムが崩れることで、子どもは疲れを溜めます。

習い事が増えた、休みの日も予定が詰まっている――こうした忙しさも、ストレスの原因になります。

社会的な出来事について ニュースで流れる不安な情報に触れていないでしょうか。災害、事故、パンデミック――大人が思っている以上に、子どもはこうした情報を受け取り、不安を感じています。

周囲の大人が不安そうにしている雰囲気も、子どもは敏感に察知します。

チェックリストから見えてくること

ここまで、さまざまな視点からチェック項目を見てきました。いくつ当てはまったでしょうか。

大切なのは、当てはまった項目の数ではなく、どこに心当たりがあったかです。ひとつでも「そういえば」と思う点があれば、それが癇癪が増えた理由の手がかりになります。

多くの項目に当てはまった場合は、子どもが複数のストレスを抱えている可能性があります。けれども、それは決してあなたの育て方が悪いということではありません。子育ては常に変化し、その中で調整が必要になることは自然なことです。

当てはまるのがたくさんありました。

ふくろう
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これから良い方向になるチャンスがいっぱいあるということです。

チェックの後にできること

チェックリストで気づいたことを、次の行動につなげていきましょう。

まず、すぐに変えられることから始めてみてください。睡眠時間を少し早める、一日10分でも向き合う時間を作る、部屋の一角を片付ける――小さな一歩が、子どもの安心感につながります。

すぐには変えられないこともあるでしょう。引っ越しや弟妹の誕生、仕事の状況など、環境そのものを変えることが難しい場合もあります。そのときは、その状況を子どもと共有し、気持ちを受け止めることが大切です。「引っ越しで疲れたよね」「赤ちゃんが来て、寂しいときもあるよね」と、言葉にして伝えることで、子どもは理解されていると感じます。

また、発達や感覚の特性に関して気になることがあれば、一度専門家に相談することも選択肢です。保健センター、発達相談、小児科など、相談できる場所はあります。早めに適切な情報や支援を得ることで、親子ともに楽になることがあります。

そして何より、一人で抱え込まないでください。パートナー、家族、友人、専門家――周囲の力を借りながら、できることを少しずつ進めていくことが大切です。

変化を焦らないために

チェックリストで気づいたことを調整し始めても、すぐに癇癪がなくなるわけではありません。子どもの心と身体のリズムが整うには、時間がかかります。

数日で変化が見られることもあれば、数週間、数ヶ月かかることもあります。その間、癇癪が続くこともありますし、良くなったと思ったらまた激しくなることもあるでしょう。

それは決して失敗ではなく、成長のプロセスです。焦らず、子どものペースを尊重しながら、見守り続けることが何よりも大切です。

おわりに

癇癪が増えたと感じたときに確認していただきたいチェックリストをお伝えしてきました。

このチェックリストは、子どもを評価するためのものではなく、今の子どもの状態や周囲の環境を理解するための手がかりです。気づいたことを責めるのではなく、「そうだったのか」と受け止め、できることから調整していく。その姿勢が、子どもの心の安定につながります。

癇癪が増えることは、必ずしも悪いことではありません。成長の節目であったり、何かを伝えようとしているサインであったりします。その声に耳を傾け、丁寧に向き合っていくことが、親子の絆を深めることにもつながります。

完璧を目指す必要はありません。今日気づいたことを、明日からできる範囲で。その積み重ねを大切にしながら、子どもと一緒に歩んでいってください。

ふくろう
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ここまで読んでくれてありがとう。


※この記事は、公認心理師・臨床心理士の「ふくろう」が、心理支援の現場経験をもとに監修しています。
一般的な心理学的知見に基づいた情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。子どもの状態について心配なことがある場合は、医療機関や専門機関への相談をご検討ください。

このブログについて

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